株式会社日本カーゴエキスプレス
JAPAN CARGO EXPRESS CO., LTD.
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花き園芸新聞

「東京都中央卸売市場仲卸業者経営調査概要」がこのほど出されたが、仲卸業者の経営は年々悪化してきている。 こうした状況の中、「市場業者の経営基盤強化に関する研究会」(村山益美会長)では、都中央卸売市場長からの諮問を受け、 初年度として、水産・青果部の仲卸業者を中心とした調査を行い、「市場業者の経営改善と統合大型化を進める指導方針」について 中間答申を、去る4月に実施。それによると、「流通環境が大きく変化している中、積極的にこれについて対応している業者もいる反面、 経営体質として次の点が指摘されている」 として、4項目を挙げている。 

@経営方針が明確ではなく、斬新な企画力や営業力が脆弱な業者の割合が高い。
A法人化比率が低く、零細な個人企業者がかなり存在し仲卸業者の担うべき機能の低下が懸念される
B資金力、各種資金の調達能力、担保力や信用力が低い業者の割合が高い。 
C環境の変化に適応できる多様な人材育成、後継者づくりが求められるが、厳しい経営環境の中でこれを実現できる業者が少ない。 

これらの指摘は、水産・青果部の仲卸に関してのものだが、花き部に対しても当てはまる。都の4つの中央仲卸売市場花き部に入 っている43の仲卸業者の、平成8年の売上高が先ごろ発表になったが、1社当たりの平均売上高は5億9137万円。前年比6.7%の減である。 しかし、元気な仲卸も多く、それぞれに業績を伸ばしている会社もある。斬新な企画力や営業力、リテールサポート、 ローコストオペレーション、マーケティング等、流通環境の変化にダイナミックに対応した経営戦略により業界の活性化を大きく 促しているのである。 

昭和63年に、都の中央卸売市場花き部第1号として開場された北足利市場花き部の仲卸、(株)ヒビヤ中央サービス(高波幸雄社長)も、 そうした企業の一つ。産地からの注目度も高い。昨年9月に4代目社長に就任した高波氏を、同社に訪ねた。 

 同社は平成元年の設立で、資本金は3000万円。昨年の売上高は8億6000万円で、中央卸売市場花き部仲卸の平均を大きく上回る。 社員は7人で、アルバイト・パートが3人。今年の売上高目標は9億2000万円と強気。「花には夢がある。生産者側の気持ちを、 末端の消費者にどれだけ届けられるかがわれわれの業務。生き残っていくためには、われわれだけでも、市場だけでも、 産地だけでもできない。 

 川上から川下までが手を結び一緒になってマーケットを育成していくことが大切」と高波社長。 
同社では、作る側の知恵、使う側の要望を合わせて、毎年毎年、来年はこうしようと反省会を積み重ね、独自のシステムを作り上げている。 その一つが、数を使う物、品質を重視するものに関して予約相対。これは、セリ主導型からどう脱皮するか、事前に量をどう動かすかと いった課題に対する模索から生まれてきたもので、合わせて、ノンクレーム、低コスト、ロス削減といった点もシビアに追求されている。 一部生産地には加工場を持っているので、横持運賃もかからず、流通ロスを減らす結果にもなっている。 

定評ある特殊花材に関してはもちろん、カスミ、カーネ、リシアンサス、トルコ、ガーベラ、等でも、年間を通じ予約相対を実施しているが、 それらの鮮度保持対象の一環として、(株)日本カーゴエキスプレスのフラワーリブロングシート(略FLシート)を無償で提供しているてんも 特筆に値しよう。 

 高波社長は語る。「われわれは、運送途中や保管中の鮮度に対する責務は果たせない。品質劣化に関する保険は輸入の場合にはあるが、 国内の流通過程にはなく、われわれは、FLシートの採用を、物流に対する保険だと考えている。ノンクレームがイコールわれわれの利益と なるので、見えないマイナス要因は減らしたい。FLシートは、一本当たり60銭につくが、それでクレームゼロなら、コストとして計上 しましょうということ。1本60銭の心遣いで、消費者に対して良いものを届けることができる。結果的にはコスト削減につながっている。 

 消費者に対して良い物を送りたいから、われわれに賛同し理解してくれる産地とスクラムを組みやっている。鮮度保持資材に限らず、 新しい物に対しては実験を繰り返しやっているが、FLシートの効果は"物流革命"とも言えるほどのものだと考えている。まだまだやること はある。限りなくロスを減らしていかなければならない。そうしたコスト削減した分はお客さんに返したい。お互いに古い体質を取り除き ながらやっていきたい。単なる利ざや商売ではなく、花き業界全体が変われば、われわれも大きくなれる。ノンクレーム、そして低コスト、 これからの仲卸の存続は、これらをいかにクリアーできるのかにかかっており、将来的には明るいのでは、と考えている」。 

 このシステム、産地側からも買参側からも好評。また、FLシートに関しては、夏場のバラにも使用している。「品質アップがプラスアップ につながり、他の産地との競合の中でアピール度は高い」とのこと。特殊な使い方としては、昭和村のカスミ。これは、高波社長が" スペシャル予約相対"と呼ぶもので、咲き前の固い他の予約相対とは違い、七部咲きまでにして死に花を取りFLシートに包んだ品。 週25ケースだが、フロリストでは、ボリュームがあるのでバラ等に添える場合に3本使うところを2本で済ませることができる。 用途に合わせた様々な試みが実施されている。 

 同社ではこの他、新たな商材の模索、産地の周年化、バケツによる水揚げ輸送などにも意欲的に取り組み、また来年の夏までには 数千万年をかけてPC化し経営効率を高めていく。「単価を叩くのではなく、われわれの体質がどうかえていくか、どれだけわれわれが身軽に なれるか今後のキー」と、同社の経営方針はきわめて積極的・前向きでさわやか。 

 高波社長は昭和42年生まれの30歳。東京農大農学部拓殖学科卒。メキシコに渡ってカスミやスターチスを作っていた経験もあり、 生産者の"心"のわかる経営者。業界の古い体質脱皮を図る先進的な仲卸の筆頭の一社。 

 なお、FLシートの(株)日本カーゴエキスプレス(鈴木隆志社長、資本金1億円)は、1968年設立の航空貨物輸送会社で、 長年の運輸業から得たノウハウとハイテク技術とを駆使して開発された独自の特殊包装資材の販売もおこなっており、 特にその鮮度保持資材シリーズには定評がある。 

 花き用としては、鮮度保持シート「フラワーリブロングシート(FLシート)」、鮮度保持段ボールケース「旭化成のフラワーカートン」、 鮮度保持材「センドメイト」等がある

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