株式会社日本カーゴエキスプレス
JAPAN CARGO EXPRESS CO., LTD.
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週刊ビル経営

2002年(平成14年)11月25日号
ビジネスの新展開 ビルのメール室を設け入居者への配送を行う!
〜受取手数料による副収入も期待〜

アウトソーシングが一般的 ビルの業務をアウトソーシングする動きが強まっている。オーナーとすれば、「繁雑な業務から解放される」「プロの高いスキルを活用出来る」というメリットがある。そうしたアウトソーシングのひとつとして最近人気なのが「物流・メールセンター」も外注だ。同じビジネスについて詳しく見てみることにしよう。

宅配業者出入りはビル保安上の不安

 ビルには入居者以外にも実に多くの人が出入りをする。その代表例が宅配業者であろう。日本通運やヤマト運輸・佐川急便といった大手業者に加え、赤帽やバイク便などが、入居者への荷物の配達・集荷の為にテナント専有部分にまで立ち入っている。  しかし、ビルのセキュリテイ性が重要視される様になる中で、「果たして宅配業者と言えどもビルの中を自由に歩くのはいかがなものだろうか。ある程度の規制が必要なのではないか」という声がビルオーナーやテナントから出てきているという。

 また当の宅配業者からも「配達や集荷は朝9時など時定の時間に集中しがち、そうした時間帯は1個や2個の荷物を運ぶ為に、それぞれの宅配業者がエレベーターを使うので、待ち時間が長くなる。指定された時刻に間に合わなくなることもある」という不満の声があがっている。更に、テナントにしても「各宅配業者が営業に訪れるのはわずらわしい。また、宅配便はA社、航空便はB社、バイク便はC社など、それぞれ使い分けるのは面倒」という面がある。

 また、「時間に追われる宅配業者がビル内を走って入居者とぶつかってケガをさせた」などといったこともある。

荷物の配送時間が短縮されることに  

そうした中で、注目を集めているのが「ビル内物流業務の1本化・アウトソーシング」である。 配送員がビル内に入らず保安維持 受取手数料による副収入も期待

 これは、ビルの入り口にメール室を設け、そのビルへの荷物については全てをそこで一括対応をするというものだ。つまり、そこで全ての荷物を受け取り、各テナントへの配達は、そのメール室のスタッフが行うというものだ。もちろんテナントからの荷物の発送についても同様だ。

 これにより宅配業者はビル内に立ち入らなくて済む為、ビルのセキュリテイが確保されるだけでなく、各テナントまで荷物を運ばなくていいぶん、配送時間が短縮されることになる為、より効率の良い業務を行うメリットがある。

 また、テナントが荷物を発送する場合にも「どこの業者に頼むのが一番便利なのか判らない」といったときには、メール室で料金、時間などを考慮した上で、最も便利な宅配業者を選択してくれるという利点がある。

 こうしたメール業務の一本化については東京オペラシテイや横浜ランドマークタワー、恵比寿ガーデンプレイス、そして来年竣工を迎える森ビルの六本木ヒルズなどの大型オフィスビルやクイーンズスクエアなどのショッピングセンターで行われて来た。  そして、その業務については、ビル側で直接行うのではなく、大手運送会社や、メール室の運営を専門に行う業者が請負うことが多い。しかし、これらのケースは、殆どがビルの建設時より、メール室の外注を想定し取り組んだものであるという。

 そうした中、既存ビルを対象に、このメール業務の一本化・運営外注を提案しているのが日本カーゴエキスプレスである。

既存のビルにも広がる傾向に

同社のシステムは、まずビル側にメール室を提供してもらうことが前提である。

 「三井物産本社ビルで実績がありますが、そこで約10坪程度のスペースを提供してもらっています。ビルの出入り口に近い場所であれば、どの様なスペースでも大丈夫です。最近はビルの管理スタッフも少なくなる傾向にありますので、管理室や中央監視室内に余剰スペースが出ることもあるでしょう。そうした部分に当社のスタッフが常駐する形になります。尚、メール室については無償提供になります」(同社代表取締役社長鈴木隆志氏)

 ビル内入居者への荷物については、同社スタッフが全て受け取ることになる。尚、その際荷物1個につき手数料(80〜120円程度)を受けとり、それが同社の収入となる。この場合、実際にはビルのオーナー(管理会社)が宅配業者より受け取り、そこから同社へ支払われるという方式を用いている。

 「当社が受け取る額については月に幾らといった形の固定にしております。実は、この点がミソでして、場合によってはビルの収入増にもなるのです。」(前出鈴木氏)

 例えば、スタッフを1人常駐させ、同社が受け取る額を月30万円に設定したとする。ビルの稼動が月に20日として、荷物1個につき100円の手数料をもらうとすれば、1日に150個の荷物の受取りで、スタッフ代が賄えることになる。もし荷物がこれより多ければ、その分はビル側の収入になるという訳だ。逆に少なければビル側は足が出ることになる。

 「従って大型ビル、荷物の受取りが多い様なテナントが入居しているビル程、当社を用いるメリットが大きくなります。特にマスコミや広告代理店などが入っているビルは荷物も多いと思われますので、ビル側の収入も多くなると考えられます。また、当社の受け取る額を幾らにするか、荷物ひとつあたりの手数料を幾らにするかといった、料金については、そのビルの規模やテナントに応じて柔軟に対応することが可能になります。(鈴木氏)

セキュリテイに加えて副収入も 

 この様に、ビル側としては初期コストを全く必要とせず、セキュリテイの確保、テナントサービスの実現が可能になるだけでなく、場合によっては、副収入の確保も可能になるのが、このビジネスの利点といえよう。

 しかし、次の様な心配もある。

 宅配業者にとっては同社に限らず、ビルのメール室を外注化しているビルへ荷物を運ぶ場合には、手数料というコストがかかることになる。また、各宅配業者にとっては、入居者へ営業活動を行うことは、業務拡大の為には不可欠な要素であるが、それが行えないことになる。そうした点を嫌って運送会社側が「あのビルへは荷物を運びません。」と配送拒否をすることが考えられる。

 結果的に、メール室の外注化は入居者にとっては不利益を破ることにもなりかねない。しかし、この点についてはこうした意見もある。

 「特定の宅配業者がメール室を設けて全館一括で請負っている様なビルでは、その業者が出入りする場合は手数料がかからないが、他の業者が荷物を配達したときには手数料がかかるということもある様です。しかし、宅配業者も企業である以上は依頼された仕事を断るとは考えにくいでしょう。また、各宅配業者からの営業活動については、こちらで一度受けて、各テナントに案内をする様にしています。そもそも、宅配業者を選ぶのはユーザーですから、特にメール室の一本化が自由な企業活動を妨害しているとはいいにくいでしょう」(鈴木氏)

 実際のところ、既存ビルへの展開については、同社もまだ昨年スタートしたばかりであり、細かな点などについては、今後詰めてゆく必要もあるという。 特定地域の配送を一手に引きうける  
また、こうしたビジネスが広がってゆくと将来的には次の様な展開も考えられる。  例えば、中小ビルが密集する地域では、各ビルの駐車スペースが充分でない場合が多い、また、こうしたエリアは道も狭い為、配送用トラックが路上駐車すら出来ないこともある。

 こうした地区では、近くにメールセンターを置き、そこで荷物を一括で受け取り、そこから各ビルへの配達を行うという手法が考えられる。こうすれば一定のエリア内にトラックが入って来ることも無くなる為、渋滞を引き起こしたりするケースが少なくなるといえる。特に、住宅地などでは、トラックによる騒音・振動などの他、宅配業者を装った強盗が発生するなどの心配もある。それらの不安を取り除くことの出来るシステムにまで成長してゆくかどうか、ビジネスとしては今後注目の的といえるだろう。

まだまだある「一本化」

 例えば駐車場である。ビルには駐車場の設置が義務付けられているが、駐車場の設置はビル  貸室面積を大きく削ることになる為、オーナーとしては「出来れば設置したくない」というケースが多いだろう。しかも最近は不況で、テナントが所有する車の数も減少している。こうした状況から利用率も減少し、駐車場が無用の長物と化しているケースも多い。

 そこで、利用者のある部分も無い部分も一括して貸り受け、空庫部分を時間貸駐車場として活用するビジネスが人気を博している。

 また、以前も触れたがオフィスコーヒーなどもビルが警備の面でテナントへの営業活動を禁止していることから、ビルオーナーへと営業のターゲットを変えてきている。企業が個々に行ってきた「お茶汲み」をビルで一括アウトソーシングした形といえるだろう。

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